平成27年11月、我が家で飼っていた柴犬トク14歳が死にました。3年前に車にはねられて、以来下半身不随の障害犬でした。
良血で、端整な顔立ちで、気立ても良くて家族の人気者でした。障害犬になる前は後ろ足で立ってちんちん動作が得意でTVに出れるかもと思ったものです。

散歩が好きで、夜間、つないでいたロープを切って道路に走り出して車にはねられたのですが、その後も前足だけでも散歩に出ることが大好きで、前足に筋肉がつき、ムキムキとなりました。

犬用の車いすを買いましたが、1ヶ月した頃には装着を嫌がるようになり、また歩行補助ハーネスも受け付けなくて、試行錯誤の末に、荷造り用ロープを尻尾にくくりつけて、持ち上げてやると喜んで前足だけで散歩するようになりました。

それからは、毎夕方には、犬小屋から這って門のところまできて、私の帰りを待つようになり、私が帰ると、クゥォン、クゥォンと鳴き、体を踊らせて散歩を求めるようになりました。しかし、私は、結構帰るのが遅くなるため、散歩できたのは、休日以外には週1回くらいだったかもしれません。
いくらトクが喜んでいることが分かっていても、尻尾をロープでつり上げての散歩は、見た目、動物虐待と思われると、私以外の家族は誰も散歩しませんでした。
犬の寿命は人間の6分の1なので、人間が1年かかって老いていくところを、犬は2ヶ月でみるみる衰えていきました。14㎏あった体重も最後は、片手で楽に持ち上げられるようになりました。障害犬にならなければ後3年は生きたでしょう。
庭の隅に深い穴を掘って埋め、祠の代わりに犬小屋を置き花を飾りました。
生き物は死ぬとかわいそうなので、また飼おうという気持ちにはなれません。