2012年07月

  担任の教師が校内のトイレに駆けつけ、暴力を振るわれていたことを確認し、被害生徒に「大丈夫か」と尋ねると「けんか。大丈夫。仲良くやっていきたい。」と答えたので、けんかと判断したとのことですが余りにお粗末です。毎日の生活の中で、いろんな場面で、「大丈夫ですか」と聞いていることがありますが、「大丈夫なわけないやろ」という場面が少なくありません。ちゃんと見て大丈夫かどうか判断しないといけない。それと、被害者から事情を聞くには、加害者のいない場所で時間をかけて聞かないと真実は見えてきません。また、人に事情を聞くときは、「人は嘘をつくものだ」ということを知っていなければ話になりません。
  学校や教育委員会は一貫して、意図的に、事なかれ主義に走っていただけかと思っていましたが、真実を発見するための技術・能力に欠けている部分も大きいのかも知れません。こういう場面にもっと弁護士が関わっていけるようになることが必要かも知れませんね。

  大津市の中2自殺問題についての教育委員会の発言はさっぱり駄目ですね。あとになるほど新事実が出てくるのにも憤りが押さえきれませんが、他にも自殺の要因があるかも知れないから、つまり、いじめが自殺の唯一の要因とは断定できないから、いじめと自殺との因果関係があるとは言えない。いかにも昔ながらの役所の弁解なのですが、こんな説明は誰も納得できません。いじめが1つの要因であれば他に要因があろうがなかろうが因果関係はあるのです(法律論としてはもう少しややこしい話になるのですが)。
 これに対して、大津市長の発言の方が単純明快で説得力があります。「いじめがあったからこそ男子生徒が亡くなったと思っている。」多分間違いありません。常識に沿うものです。ただ、これを裁判で認定するとなると、教育委員会のいうような常識に反する弁解を崩すのにも一手間がかかります。行政の速やかな判断が求められる所以でしょう。マスコミに騒がれてしまうと、9ヶ月も経ってから、あわてて動き出しましたが、ここまで放置していた警察もさっぱり駄目ですね。

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