業務上過失往来危険罪(刑法129条2項)とは、

業務従事者が、過失により、「汽車・電車・艦船を転覆又はその往来の危険を生じさせ」るという罪です。

刑罰は3年以下の禁固、50万円以下の罰金で、過失ですからそれほど重くはありません。

  「列車・電車・艦船の転覆」というと大事故ですが、その他にも「危険を生じさせ」といった標識等を損壊しただけでも犯罪が成立するという形です。

本件は海難事故です。2月に事故、7月に不起訴処分でした。

暗闇の中、操船中に港から100m足らず沖に設置されていたボーリング調査用の足場に、船が勢いよく接触して足場が損傷等したと言う事案でした。


 ただ、私が相談を受けたときには足場は既に撤去されており、詳細は検察官の証拠開示を待つという状態でしたが、起訴には至らず、不明な点も少なくありません。


 当方の主張は、①本件の足場設置自体が危険で接触は不可抗力だ。②足場の多少の損傷等によっては新たな危険は発生していない。

徹底抗戦のつもりでしたが、検事さんの判断で不起訴処分となりました。十分無罪の可能性があったので、残念と言えば残念でした。

 姫路海上保安部(海の警察です)では、何とか罪を認めさせようと結構絞られましたが、本人が頑張ってくれました。

警察も30年くらい前は結構ごりごり来ましたが、最近は洗練されています。むしろ海上保安部が昔の警察を彷彿させるところがあります。

任意の事情聴取のはずなのに、なかなか弁護人の電話も取り次ぎません。昔は本人にあわせろといって乗り込んでいくしかなかったのですが、今は、本人の携帯に電話して、調べを打ち切って帰ってくるように指示できました。

  20~30万円の罰金という事案でしたが、本人のプライドの為に頑張って結果が出たので大成功でした。

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コロナが終わって又マラソンに行きたいものです。